探偵・花咲太郎は閃かない

探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)

――うん。トウキが十五歳になるまでに、他の十歳の子とかにヤキモチ妬かせたいなぁ。




みーまーもコンプしてないのに、他の入間人間に手を出す無節操。
何故なら仕事中に読むには、挿絵やイラストがあると厄介だからです。
これ余談だけど、表紙のシルエットデザインを、みーまーのイラスト担当である左氏が手掛けていたり。


とゆわけで花咲太郎シリーズ第1弾。
推理しないロリコン探偵と、その隣で事件とその解決を呼ぶ少女。
登場キャラクタが余すことなく濃いめで、しかしその背景についての言及は薄い。
わりと、伏線をぶん投げ気味。
いや、今後の刊行分で徐々に明らかにしていくつもりなんだけど。たぶん。


ともあれヒロインであるトウキこと桃子(十三歳)が面白い。
なんというか、ありそうでなかった“コナン体質”の彼女は、自然と事件を引き寄せてしまう。
出掛ければ、その周囲で事件が起こるのだ。
そしてしかも、その犯人が“なんとなく”でわかってしまうという。
本来ならばその筋道たる推理部分を構築するのが探偵の役目なんだろうけど、生憎、花咲太郎は閃かない。
そんなある意味拍子抜けなストーリー展開が、妙にツボにハマって面白い。

    「これだから推理なんぞチマチマやってられねぇ!」
    どうでもいい偶然が、過程を吹っ飛ばしてしまうのだから! くだらねぇ!

ほら、咄嗟に叫んだ花咲氏の台詞が全てを物語ってる気がするぜ。
知力なんかにゃ頼らない。
筋トレを欠かさず、犯人と対峙すればアタッシュケース一つで肉弾戦をする探偵の、今後の活躍に期待していきたい。