少女には向かない職業

少女には向かない職業 (創元推理文庫)

――あんたなんかぜんぜんこわくない。だって、こっちには大西葵がいるもん。あんたのことも、葵が、殺してくれるもん。




これいつから本棚にあったの? っていうくらい前に買った小説です。
たぶん『赤朽葉家の伝説』を読み終えた興奮のあまり、その直後に本屋で買ったんだろうとは思うけど……謎。


とゆわけで『少女には向かない職業』。
いやー、桜庭一樹の描く少女はどうしてこう魅力的なんだろう?
陳腐な言い方でしかできなくて哀しいけど、本当に「ページから飛び出してきそうなキャラクター」を文字から感じる。
少女の心情一つ一つから、生きた人間の匂いが微かにする――と言ったら大仰かな?
それは、台詞に「まじで?」なんて言葉を使っちゃうから、という理由では決してない。
一応十数年前には中学生という生き物――男女の違いはあるけど――だったpseudoをして、いちいち懐かしく頷かせてしまう心理描写があるからです。
思春期特有の、やけに波立つ心。
そのくせ何かを達観・諦観したような心。
何でもできるようでいて実は何もできない不完全な心。
桜庭一樹の少女像にはそういう心が内蔵されている。


……で、まぁ俺のどうでもいいコメントは、これより数万倍素晴らしい巻末解説があるからもういいか。
結局のところ、どこか現実的な少女が非現実的な世界に身を浸す物語は素敵やん? ってコトです。
家庭内の不和、うまくいかない友人関係、けれど女子中学生の手には巨大なバトルアックス。超素敵w