不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

――実際のところ、教師には一戒しかない。
   一、教師は聖職者である――ゆえに、人間であってはならない。




西尾維新漬けの毎日、気持ち良くなってきた。
で、本当は『偽物語』に進むつもりだったんだけど、衝動買いしたきみとぼくシリーズを先に開いてしまったり。
とゆわけでシリーズ第四巻。
異端揃いの病院坂が一、またも病院坂迷路が主役を張ります。


けど、そうも簡単に説明できないのが今巻であり、このシリーズの持つ気味悪さでもあり。
病院坂迷路、臨時教師。
そして同僚にして、あの串中弔士、二十七歳、スクールカウンセラー
そう、時代はかれこれ十四年後、登場人物は皆大人になっていた。
舞台は相変わらず某学園内だけれど、主人公勢が教師という幕開け。


なんとも説明しづらいけど……このシリーズ、ほんといろんなモノをぶっ壊していくよなぁ。
それは既成概念とかそういう、常識の壁、囲いなんだろう。
事件を暴かなくたって、とか。
台詞なんて無くたって、とか。
外国が舞台なのに実際に外国へ行かなくたって、とか。
その、通常ではしっくり来ない具合が不気味さの原因で、きっとそれがじわじわ効いてくるんだな。


今回は、学園を舞台にした殺人事件。
でも主人公が教師であるがゆえに、学生の探偵役は存在しない。
いや、それどころか教師たちは探偵役になんてなりたがらない。
恙なく事件は重ねられ、どこか外れたところで終わりを告げ、そして纏まらない。

   結論を言おう。
   世界は不気味でも素朴でもなく囲われてもおらず、きみのものでもぼくのものでもなく壊れてもいない――世界は世界だ。
   世界以上でも世界以下でもない。
   ありのままであり、そのままだ。

あーじわじわくるわぁ。
気持ち悪い気持ち悪い。
気持ち悪いが気持ち良い。





しかし、一個だけ言わせてもらうと――オビに七不思議殺人事件って書いちゃ駄目じゃない?
カバーかけたまま読んで、読み終えてからオビを見た俺としてはどうでもいいけど、先に見ちゃった人にしたらネタバレだろそれ。
む。