棺担ぎのクロ。
――あたしたちのなまえもちゃんとよんで?
うそっこななまえなしでちゃんとよんで?
各所で話題に挙がっている段階では興味なかったが、書店でラスト一冊になってるのを発見したのも束の間、気が付けばレジに持参してしまっていた。
で、肝心の内容は……はい、面白いですな。
数話読んだあたりまではどーしても『キノの旅』の先入観が拭えずにいたけども、次第に独自の世界に惹き込まれていく自分に気付く。
たとえば、クロの“黒色”がニジュクに染み込んで、そして逆に二人が“白色”をクロにあげようとする話。
たとえば、櫛を引っかけたりして痛い思いをさせることなくサンジュの髪をあっという間に結わえる話。
たとえば、法螺吹き爺さんと優しい嘘の話。
どれもこれもが、沁みる。
特にニジュクとサンジュの無垢さが、思った以上に俺の胸にクリティカルすぎて、ああ俺にはもうそんな綺麗なものを受け止める資格なんてないのにー! と悶々とするとかしないとか。おねいちゃとかな!