姫の犯した罪と罰

かぐや姫の物語』、試写会で観てきたー。
無料で観られるとあれば、えぇ、仕事を定時で切り上げもしますよ!
とは言いつつ、まさか満席になるほど人が集まるとは思っていなかったため、最後列の座席になってしまったり。
ただ、面積が小さいわりにスクリーンが大きな劇場だったんで、ちょうどいい距離感だったから結果オーライってやつで。
しかしまぁ、入場時に鞄チェックされたり、劇場内に終始職員が居着くとは思わなかったな。
それだけ最近は違法録画、違法アップロードが蔓延してるってことなんだろう。
ノーモア映画泥棒!



で、本編。
ストーリーラインは、ほぼ脱線することなく原典『竹取物語』をなぞっている。
独自の解釈やオリジナルの展開もないので、先が読める退屈さがあることは否めない。
ただ、そこへ高畑勲節というか、CMでお馴染みのあの画風を落とし込み、言ってしまえばどのカットもが“一枚絵”として成立するような繊細な画が連続して動くことに、驚きと、わずかな不気味さすら感じてしまう。
あと、キャストの選択にハズレがないというのも、ある意味ジブリの難点をクリアしたと言えるのではないか。
(まぁ宮崎ジブリ限定の懸念かもしれないけど……)
主人公のかぐや姫然り、翁や嫗、5人の求婚者らに至るまで、声が耳に優しい。
特に故・地井武男の翁は絶品で、赤子時代の姫を溺愛する様は、それだけで貰い泣きしそうになったり。
中盤、独走気味の鬱陶しい演技も、いい感じに鬱陶しくていい感じ。
……あ、伊集院光も、あとで調べるまでどこに出演していたかわからないくらい違和感なかった。



演出面も、いろいろ良かったな。
一番震えたのは、月から使者が降りてくるときのBGM。
地上人との感覚の差異が、あの音楽で如実に表現されていた気がする。
矢を花に変え、護衛を眠らせ、一切の労苦なく進攻――いや、ただ迎えに降りる。
もうね、逆に切ない。



とまぁ、そんな具合で絶賛調の感想を書いたけど、個人的に点数を付けるなら……50点、かなぁ。
ひとつは、前述のとおりストーリーが退屈だったこと。
ふたつは、キャッチコピーの意味が曖昧だったこと。
そしてみっつ――劇場内の環境が最悪すぎて、スクリーンに集中できなかったこと。
罪と罰
月面で、地球帰りの人が口ずさむ歌に興味を持ち、地球に憧れてしまったことが罪なの? そして地球に降ろされたことが罰?
それとも、姫から無理難題を突きつけられた求婚者が事故死してしまったことが罪?
姫の葛藤は感じられたけど、よくわからなかったのよ……。



しかし、最悪な環境に関しては、恨みすら感じるぞMOVIX……!
とにかく暑い。
暑すぎて映画どころじゃない。
快適な観賞環境を構築するのも映画館の義務、とは言わないにしても、サービス業としては失格じゃない?
その点にだけは苦言を述べずにいられない。
だめ、ぜったい。