機動戦士ガンダムUC -重力の井戸の底で-

重力の井戸の底で 機動戦士ガンダムUC(6) (角川文庫)

――いまのあんたに、そんな資格はないんだ。
   殴るんなら、自分を殴れ!



舞台は地球──重力の井戸の底へ!
墜落した《ガランシェール》と行動をともにする中で、バナージは懊悩と向き合い、少しずつ変わっていくのを自覚する。
一方、連邦が首都を置くダカールでは、捻じくれた思惑が巨大な暴力となって蠢き始めていた。
レフレクター・ビットが空を舞う狂乱の市街に、悪意を纏いてモビルアーマーシャンブロ》が進撃する……!



とゆわけでガンダムUC第6巻。
折り返しを越えて地球編。
宇宙のSF描写もよかったけど、一転して描かれる地球の自然描写も素晴らしい。
砂漠を踏破するバナージの心中描写とか新鮮でよかったなー。
あとキャプテン超素敵、マジマスター。

    「自分を憐れんで流す涙はみっともないが、人を想って流す涙は別だ。
     なにがあっても泣かないなんて奴を、おれは信用しない」


あと、白人に弾圧されたムスリム、なんて題材がまさか宇宙世紀で語られるとは。
旧世紀からの怨念は、人が宇宙へ進出する未来でもなお、さらに百年を経た時代でもなお、まだ続いている。
それがショックでもあり、でも実際にありそうでもあり……。
とりあえず、首都に聳立する高層建築をメガ粒子砲でぶち倒すシーンは圧巻。
反面、時期が時期なら映像化も難しそうだなぁと感じ入ってみたり。



ともあれともあれ。
今巻ラスト、争乱が収まったかと思われたダカールに黒い《ユニコーン》が降り立つ、という驚異の引きに腰が抜けた。
なんなの、これが噂の2号機ですか?
こんな引きされたら、次巻を開かざるを得ない……!