コップクラフト

コップクラフト (ガガガ文庫)

――私もハイスクールの頃は、どうすれば隣の異性と体液を分かち合えるかばかり考えていたものだ。
   この場合の体液というのは、霊的な意味合いも含んでいる。
   そうやってみんな大人になるのだ。




またしてもガガガ文庫
しかもこないだ読んだのと若干雰囲気が似通ってるかなぁなんて思いながら読んでみたり。
実際は――当然ながら――全然ベツモノであり、それぞれがそれぞれに面白い作品だから言うことはない。


とゆわけで『コップクラフト』。
実は、著者が賀東招二だとかイラストが村田蓮爾だとかいう点には気付くコトなく購入した一冊だったりする。
そう、きっかけは公式広告で見た、本書の宣伝文句。

     悪人どもに制裁を。魔女の方法、刑事の方法。

正直ここでやっと、魔女の方法(ウィッチクラフトに対応した刑事の方法(コップクラフトというタイトルの意味がわかった。
その瞬間、pseudoに電流走る……!
まぁ結局今の今まで積んでしまっていたわけだけど……。


しかしこれは面白い、さすがの賀東招二というかなんというか。
軽妙な会話、淀みのない展開、登場人物の魅力。
まさに後書きで語られるように、海外モノの刑事ドラマでも観ているかのようなテンポでページがざくざく消化されていく。
フルメタル・パニック』は未読だけども、これは読んでみないといけない気がしてくるくらい、素敵な筆捌きだったわ。
本作は、今はなき竹書房ゼータ文庫で書き進められていた作品(『ドラグネット・ミラージュ』)のリメイク的なものになるらしい。
調べてみると――刊行は二冊、四年前と三年前になるとか。
……はい、ぶっちゃけゼータ文庫なるものの存在も知りませんでした……。


それはともかく。
展開だけ見ればもしかしたらありがちな感じかもしれない。
反目し合う凸凹刑事コンビが次第に心を通わせ、やがてコンビを結成するに至る――と。
しかし、そこにセマーニ世界やミラージュ・ゲートというファンタジー要素を織り交ぜることで、えも言われぬ異世界が構築される。
物語は、陰惨な事件が渦巻いて決して明るいものではないけれど、それでも最後はまぁ、好みな展開でした。
うむ、これはもう、続編を超希望するしかない。
ゼータ文庫を参考にするならば第二巻は『10万ドルの恋人』なるサブタイトルらしいけど――個人的にはウソ後書きの第十四話あたりが気になるところ。




追伸
オニール最高。
エス、ファーザー。