偽物語 上巻

偽物語(上) (講談社BOX)

――まあ、天国のイメージは人それぞれですからね。
   ちなみにわたしは天国という言葉からはドリンクバーを連想します。




ほんともう、趣味ダダ漏れ西尾維新小説。
ようやっと読み終えましたよ『化物語』シリーズ第四作、『偽物語<上>』!


会話のキレは以前にも増して超強化され、掛け合いの面白いこと面白いこと。
しかも俺の御贔屓さんこと八九寺真宵のパートが二箇所あるよ。
ううっ、かなり嬉しい。
更に言うならば、過去の――『化物語』の最後で有耶無耶になったところを、

    「大体、前の締めかたじゃ、わたしのことをあまりに投げっぱですからね。
     忍さんを探しに出たままわたしは一体どこに行ってしまったのですか」

オウンネタで回収しちゃうとか、メタにも程があろうに。
あ、勿論、これまで何度もあったアニメ化を巡るメタネタも豊富です。
うむー、突っ走りまくりだな西尾……!


他のキャラクタたちについても語りたいことがいっぱいある。
けど省略!
書ききれないし!
ガハラさんの拉致監禁、神原の全裸テレフォン、千石の人生ゲームetc.……
あとちゅらら木さんの性癖(眼球舐め)とか。
ああ、こんなに、誰がシーンに絡んできても楽しい小説ってのは珍しい。
    (パッと浮かぶとなると川上稔作品くらいだ、個人的には)


ただ苦言を呈すとすれば、本編自体の面白さがなぁ。
正直、以前のものを下回っていた感が否めない。
今回ようやく全面に登場した阿良々木姉妹、ファイヤーシスターズ、火憐と月火。
あと、まぁ深くは言わんけど、敵キャラポジションのあの男。
それら個々の存在は、旧キャラクタを含めて最高の素材なんだよ。
でも肝心のストーリーがちとあっさり味というか、もうちょいこってりしててほしかった。
いや、でもまだ下巻があるしな!
そのへん全ての不安を掻っ攫って余りある大満足をもたらしてくれると確信して、三月を待つとするぜ!