きみとぼくが壊した世界

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

――あれ? くろね子さん、どうしたんですか? 顔色が悪いですね、酔ったんですか?
   なんだか、気持ち悪そうですけれど。




きみとぼくシリーズ第三弾。
あ、いや、世界シリーズと呼ぶべきなのか?
どちらにしてもミステリの皮をかぶったフリをしたメタメタミステリ!
まさに“世界”を“壊し”まくり。
もうわけがわかりません!


いやはや、読みながらにしていろんな意味で気持ち悪さを味わえることで有名なシリーズ。
今回は、こう、くるくると振り回された挙げ句ハイになるタイプの気持ち悪さというか。
酔うね、酔う。
ぱっと思いついたのが、映画『HERO』だったり。
嘘やら空想やら創作やらが絡まり合って、何が本当に起こったことなのかの判別をつけにくい。
で、ただそれだけの小説ならば糞認定で終わるところなんだろうけど――そこを逆手に取るあたりが西尾維新西尾維新っぷりなんだろう。


物語の舞台は倫敦。
空港から始まって、例の如く病院坂黒猫と櫃内様刻がスレた会話をしながら渡英する。
その様子だけを見れば、まさにロンドン観光ガイドノベルって感じ。
各名所を巡りながら胡散臭いトークを楽しみつつ、そして先述どおりわけのわからんミステリ(?)も堪能できる。
おなかいっぱい。
大好きすぎる。


ところで個人的には夜月の登場に(作中作であれ何であれ)期待したんだけど。
さて次回作には出るかなぁ。
でも後書きや予告されてるタイトルを見るだに串中弔士寄りの話っぽいし、果たして果たしてだな。
ともあれ次作『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』は今年十一月刊行予定らしいんで、激しく心躍らせつつ待つとしようか。