FLIP-FLAP

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

――無意味じゃなくなる方法教えてやるよ。
   楽しめ!!!!!




俺はこの、とよ田みのるという漫画家の作品をよく知らない。
たぶん、純粋なる第一印象だけならば決して手に取ることのない――読むことのない類の漫画だ。
テーマはピンボール
世界初(?)ピンボールブコメ
もはやストーリーの流れすら読めない。
けれど、世の深い処で沸き立つ「これは傑作だ!」の声を信じて、俺はこの本をレジへと持っていくことにした。
そのへんがネットをきっかけとした、未知なる出会いの楽しさよね。


……読む。
初っ端で思ったのは、ヒロイン(山田さん)の口ふにゃふにゃしとる――! だった。
正直その時点でページを捲る手が止まりかけたのは事実。
でもちょっと待った。
思い出せ。
漫画は絵だ。
だが――絵が漫画を決めるわけではない。
こんな絵のどこがいいんだー、とさえ思ったpseudo、マジ浅薄。


というわけで、さて本編。
とある萎びたゲームセンターを舞台に、一人の少女を巡ってピンボール台に挑む男連中。
その中の一人となった主人公は、ピンボールというレトロゲームにゼロからのめり込んでいく。
ルールの基本から、地方大会、アメリカ、そして謎のハイスコアプレイヤーUFOへ。
本気になるということ。
本気でやってる人間は、それだけで人を惹きつけるという言葉。
全身全霊で台にぶつかっている彼らの姿は、日々を安穏と生きるこの胸にザックリ突き刺さった気がした。


べつに安穏がいけないと言うつもりは更々ないけど、でも、今俺たちに足りないのはこの本気の熱さじゃなかろうか。