げんしけん 第9巻特装版

げんしけん(9) (アフタヌーンKC)

――ああ、でも。
   やっぱ覚えててくれるんだなぁ、ああゆうのも。




最初の頃は「あの『五年生』のひとが描くオタク漫画ぁ?」って感じの疑惑的印象を抱いていたものの、まさかまさか、こんな素敵な青春を味わえるだなんて。
そんな最終巻、本当にお疲れ様でした。
とりあえず笹原はすげぇよ。荻上を大事にしてほしい。ってか俺にもオギーをくれ。後生だから。


物語としては前の第8巻で笹荻の件をシメて、今回は完全に斑目焦点よね。
さすが主役。
やっぱ前世が蛇じゃないと主役は務まらねぇぜとばかりに前面へ。
まぁありえないとは心の隅で信じていたものの、斑目と春日部さんがくっつくなんて展開にならなくてよかったかな。
そこまで都合良く上手くいかないからこそ、というか。ねぇ?
ただ、今回の特典の同人誌で犬上すくねさんが描いていた話は、沁みた。
好いてることが相手にバレて、それでもそのことを面と向かって嬉しいと、ありがとうと言われる気持ち、これほんとわかる人は絶対グッとくるよね……。
こっちだってすっげー嬉しいと思うのと並行して、居ても立ってもいられない切なさに襲われる。ああああ、もう、勘弁して。


……しかし、そう考えると、やっぱり俺も一番視点思考が近い(石田敦子的に言えば「シンクロ」していた)のは、斑目その人なんだろうなぁ。
さすがにあそこまでいろいろかなぐり捨てたヲタ道を歩くのは難しいけど、思考や言動が見てるこっちといちいちリンクするからタチが悪いのなんのって。
できるのであれば、何かがどうにかなって仄かな幸せを掴む、あるいは掴みかける斑目の姿ってのも拝んでみたかった気もするぜ……!