赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

――ああ。これは、なんの騒ぎです……?




はじめての桜庭一樹
全三部の物語はそのまま三者三様――否、三世代を跨いだ時代の変遷であり、赤朽葉という旧家を軸に据えつつ、どうしようもなく変わっていくせかいを描いている。
時とともに葉が朽ち落ちるように、けれど、だからこそ世界は美しく。
千里眼少女・万葉から始まり、娘の毛鞠、そして孫の瞳子へと物語は流れながら……とある一族の変化と世界の変遷とを同時に眺めるような不思議な感覚が湧いて、ふと、うん、俺この作家好きだなぁなんて感じたり。
ほら、目を閉じれば万葉が出目金と訪れた山中のシーンがふわりと浮かぶ。
鉄砲薔薇と、幻想の最果て。
ああ気持ち良い読後感。



……ところで、タイトルから遠野秋葉や円朽葉を連想したのは俺だけじゃないはず。な?