Memorial Hall

全部、終わりました。
今まで何度か通夜や葬儀に参列したことはあったけど、ここまで身近な人の、というのは初めて。
こんなことを言っていいのかわからないけど――すごく勉強になったと思う。
いつかは自分も誰かの式を執り行う立場になるかもしれない。
そう考えると今回のことは大きな経験だった。


ただ、葬式というのは結局のところ故人のためではなく、遺族のために行われるということを再認識したな。
死んだ人間はこうして葬送される。
遺された人間はこうして死者を送る。
死後が安らかでありますようにと念仏を唱え、三途の川を渡る六銭を胸に差し込む。
死出の旅のための装束や草鞋、絶えない線香、棺に添える蓮の葉……。
なんだか滑稽だなぁと感じると同時に、ずっと昔からこうやって『死』を体系化してきたのかと思うと感心もする。


死は怖いこと。
死んだ後がわからないから。
骨まで燃えれば、何もかも残らず消えてしまうから。
燃えて灰と化したその先に何が待っているのかわからないのが怖い。
――だから、設定を創る。
生きているうちに徳を積めば死後の安寧が約束されるとか。
そうでなくても、死後、遺族が祈りを重ねれば苦しい思いをしなくて済む、とか。
後付け甚だしく思えるけど、そういうことを人間は真剣な表情で行ってきて、実際こんな時代にありながらも続いている。
人が死ぬなんて当たり前のことなのに。
なんか……すげぇなぁ。


とかなんとか。
いろいろ妄想したけど、でも棺に縋り付いて号泣する祖母を見てたら何も言えなくなったよほんと……。
面倒臭ぇコト考えてる自分が汚い感じがするから困る。
あー。