仮眠中に襲い来た不意の吐き気。
不自然なまでに溢れる唾液。
放っておけば口から零れ出そうで、仰向けに寝たまま慌てて嚥下を繰り返す。
嚥下。嚥下。止まらない唾液と吐き気。
この感覚は知っていた。前兆だ――嘔吐の。
こみ上げる悪寒に怯える。
皆がまだ眠る午前三時、吐き散らすことだけは意地でも堪えるのに躍起。そして嚥下。
次第に収まる吐き気に反して吹き出す冷や汗を拭う間もなく、カーテンの向こうに白い光が滲み始め――苦痛の夜が明けた。
涙が何故か零れるが、あと数時間は勤務がある、潰れているわけにはいかない。
深呼吸を重ね、その合間でまた沸き立つ吐き気を無理矢理無視するように躰に鞭を打つ。



――という感じで最悪な一日。
こないだの風邪の一件もあるから職場で弱みを見せたくないと思ってふんばりましたよ、えぇ。
しっかし何が原因なんだろう。
仕出し弁当を食べたけど、それは皆も大体同じものを食べてるし……くそっ、これじゃ虚弱体質をひけらかしてるみたいじゃないか。