3人目だから

昨日は祖父母の家へ。
車で1時間強のところに住んでいるのだが、どうにも最近行けずにいた。怠慢。
特に祖父はこないだ80歳を越えたのだが、口を開けば、
     「墓に入ったら、おまえたまには来てくれよ」
     「できれば死ぬ前に嫁でも連れて来てくれよ」
とかそういう“死”を前提にした話ばかりが出てきて困る。
そして、躰で動かしづらい箇所が徐々に増えていく己の様はまるでブリキのロボットだ、とのたまう。
それでも笑顔で俺や妹、そして俺の母(つまりは祖父の娘)の心配をしたり、ここのラーメンは不味いななどと悪態を吐きながらも一緒に夕飯を食ったり、または俺らに対して昔話をしたりするその顔はまだまだ元気。――に見える。


きっと。
その姿を見て、祖父がまだ元気で――まだ生きているのだと確認し、ほっと胸を撫で下ろす自分が嫌なのだ。
去年の夏、ようやく俺が俺の車を買ったとき、
     「これでもしものときは飛んできてもらえるな」
と笑っていた祖父。
その言葉に、大して上手い言い回しを見つけられなかった俺。
違うんだ、と。
俺の車はそんなことのためにあるんじゃなく、こうやってちょくちょくにでも会いに行くためにあるんだ、と。
それくらい大きい台詞を言ってやればよかったのに。
母の実家にはいつも祖父母がいて、そしていつも、おまえまたでっかくなったんじゃないのか、なんて言ってくれる。いつも。いつも。


頼むから、頼むから自分で「もうじきだ」なんて言わないで。
その何気ない言葉が、すっげぇ寂しい。